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「人を雇う」を考える 3 後編

2008年08月22日

『「人を雇う」を考える 3 前編』はこちら

3.面接実施

面接には1~2時間かけました。スタイルは、いわゆる圧迫面接。考えてきた志望理由を話そうと意気込んできたところで、先に採用にあたっての主張を押し出す。出鼻をくじき、ホンネを引き出す戦法です。不意をつかれると、人間って意外に本心をポロリと出すもの。最後には、面接というより、人生相談のようになったケースもありました。
応募はその後も順調に増え続け、20代の応募者も増えていきます。ひとりひとりに質問をするのも手間がかかるので、履歴書で何か気になる点があった人を面談することにしました。

そして、ついに現れました。今回採用を決定したA君。出身は某有名大学と、いわゆるエリートながら、ミュージシャンになるため就職活動を一切しなかった異色組。ミュージシャンの道を寸前で絶たれた後は、自分自身を見つめるために派遣社員をやっていたといいます。こちらの質問への答えは、どこか攻撃的でしたが、生意気な人間は嫌いではありません。とにかく一生懸命アピールしている点に好印象。「彼で行こう!」とその場で気持ちが固まり、面談後にいっしょに飲みに行ってしまいました。
採用の決め手は、(1)人生をリベンジしたいという熱い気持ち、(2)こちらの話の意図を理解する力、(3)勉強には絶対の自信あり。これらの3点でした。

4.面接後の感想

結局、面接では15人の応募者に会いました。基本的には、みんな「マジメでいい若者たち」という印象。資金の余裕があれば、全員雇いたいと思ったぐらいです。ただ、安易に「手に職」というイメージで、経理・財務方面へのジョブチェンジを考えている人が多かったように思います。人生やキャリアを考え直したいなら、会計・税理士事務所以外にも広く目を向けてもいいのでは、と思いました。

また、「無給でいいので勉強させてほしい」という人や、「また、仕事のことで相談させてください」という人たちも。さまざまな出会いは、興味深いものでした。
最終的に応募数は100件近くにのぼりました。「初心者OK」で「勉強ができる」という条件が好感された結果かと思いますが、人生を真剣にやり直したいと考えた応募者が多かったようです。決して良くない給与条件、かつ弱小事務所ながら、これだけの数の応募があったことは、単純にうれしい結果でした。

5.その後…

今回、採用が決まったA君。7月末の打ち合わせで、「中小企業診断士の資格をとるために、通信講座のお金を出して欲しい」といきなり直談判してきました。「1年で合格すればいいけれど、合格できなかったら全額返済」という条件に、即答で「合格します!」。この生意気ぶり、なかなかいいじゃないですか。
ちょっととんがっている印象はありますが、自分自身も頑張って魅力的な上司であらねば、と気が引き締まる思いでいます。

最後に。求人会社のインテリジェンスのI君、エン・ジャパンのY君、Sさんには本当に御礼の気持ちでいっぱいです。彼らが一生懸命、私や事務所の打ち出し方を考えてくれたおかげで、今回の採用が成功したと考えています。
とはいっても、成功というにはまだ早い。ここがゴールではなく、A君にとっても私にとっても新たなスタート地点です。よりクライアントに寄り添える事務所であるために、彼にもいろんなアイデアを出してほしいと考えています。

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