「目標」と「目的」の違いとは? – 後編 –
2006年11月29日
『 「目標」と「目的」の違いとは? – 前編 – 』はこちら
「目的をもつ」。
口で言うのは簡単でも、いざとなると難しいものです。大企業の経営者でも、確固とした目的を持っている人は少ないかもしれません。私の場合、最終的に行き着いた目的は「お金に困っている人を助ける」でした。目的について考えたこともなかった私が、どのようにしてこの結論を導いたのか。ご参考までに記しておきましょう。
自分の強みを知るところから始める
まず、私は自分の“棚卸”から始めました。
自分はこれまで、どういうときに人に役立っていたか? あるいは自分が得意とするポジションはどこか? 過去を振り返って、考えてみました。導いた答えは、自分は逆境に強い、ということ。
例えば、大学時代、自分のエネルギーの大半を注いだ水上スキー部。私は、高校時代、ちょっとしたモラトリアムに陥っており、廃部寸前だったこの部に入ったのも、友人に誘われて、という受身のスタンスでした。しかしなぜか、先輩がひとりしかいない不人気の部をなんとかしたい、と俄然エネルギーが出てきたのです。
また、会計事務所時代、私がもっとも肩入れしてがんばったのは、倒産寸前の企業を担当したときでした。順調なときよりも、人が困っているとき、ピンチのときに力を発揮するタイプなんですね。
どうやら、私は「困っている人を助ける」というポジションで、もっとも強みを発揮できそうだ。ならば、税理士として「お金に困っている人を助けよう」。そう考えたのです。その目的は、独立以来、ずっと変わっていません。これからも変わることはないでしょう。
会社の目的は、社長の「生きる目的」
「自分に強みなんか、あったかな」――そう悩んでしまう人もいるかもしれません。
誰にでも、必ず自分だけのポジションがあるはずです。どんな平凡な人間でも、過去を振り返れば、「あー、あのとき自分はがんばれたな」「人の役に立ったな」というポイントを発見できるはずです。あきらめず、自分を見つめなおす作業を続けてください。そうすることで、やがて答えが見えてきます。そして、その答えが、自分がいまの仕事をする原点となっているはずなのです。
もっとも怖いのは、何も考えずに、つき進んでいくこと。一時的には、勢いで進むのもよいですが、遅かれ早かれ、壁にぶち当たることになります。壁にぶち当たっていることに気づけばよいですが、ライブドアのように間違った方向に進んでしまう恐れだってあります。
かつての日本では、ひとつの目標に向かって突き進む人々が、日本経済の礎になってきました。会社が成長するうえで、かつ日本社会全体が発展するうえでも、何の疑問もなく国や会社の指針に従って動いてくれる人間にこそメリットがあったのです。
しかし、社会が成熟期に入って、企業も個人も、生存していく“目的”を問われる時代となっています。
何のために仕事をするのか? もっと言ってしまえば「自分は何なのか?」。
とくに中小企業においては、会社の目的は、社長個人のいわば「生きる目的」と重なってきます。
果たして、あなたが「仕事をする目的」は何でしょうか。答えがすぐに見つからなくても、考え続けてみてください。きっと自分について、会社について、有効な発見があるはずです。
『「目標」と「目的」の違いとは? – 前編 – 』はこちら
[関連コラム]
70点主義の目標達成術(2012/03/02追加)