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「目標」と「目的」の違いとは? – 前編 –

2006年11月29日

仕事をする「目的」って何だろう

唐突ですが、あなたの仕事の「目標」は何ですか?
自営業の方ならば、「利益前年比○%アップ」、「取引先を○社増やす」など、さまざまな目標があるでしょう。会社勤めの方ならば「とりあえず、ノルマ達成」かもしれませんし、あるいは「今年度中に絶対転職」なんて目標を掲げている方もいらっしゃることでしょう。

それでは、あなたの仕事の「目的」は何でしょうか?
「んっ、目的?」。
ココで答えに詰まった方が多いかもしれません。「目標と目的の違いってナンだ?」と思われた方もいるでしょう。私もかつて、そうでした。今回は、仕事における「目的・目標」、そして「方法論」について書いてみたいと思います。

「お前、“目的・目標・方法論”の違いってわかるか?」。
仕事の“目的”について、私が真剣に考えたのは、会計事務所に勤めていたころ。冒頭の質問を、事務所の先輩に問われたのがきっかけでした。
当時の私の「目標」は「税理士試験に受かって、税理士になること」。
そのためには「試験勉強をする」。これが目標を達成するための方法論。では、税理士になる目的は何なのか? そこには答えられない自分がいました。

私の仕事の目的は何なのか――考え続け、ふと気づきました。
これまで何かをやる「目的」について考えたことがあっただろうか。
私は幼少のころ、ヨットをやっていました。コーチは口を開けば「世界選手権を目指せ!」と言います。これは目標です。そのためには、厳しい練習をこなさねばなりません。これが方法論。学校では「いい学校を目指せ」と言われます。だから受験勉強をする。
では、ヨットをやる目的とは? いい学校に入る目的とは? 目的について考えるどころか、親にも先生にも友人にも、そんなことを問われたことがありません。「そんなこと考える暇があったら、がんばって練習(勉強)しろ!」。そう言われてきたような気がします。

成り行きで税理士を目指したものの…

私が税理士を目指したのは、正直なところ成り行きでした。「就職しない」と決めた私は、「手に職をつけなければならない」と考えました。ならば何か資格を取るのがいいだろう。そこで行き着いたのが「税理士」だったのです。
使命感のカケラもなく、生きていくための食い扶持という考え方でした。税理士を目指すと決めたものの、なかなか勉強に身が入らなかったのは、そのせいでしょう。モチベーションを上げる材料がなかったのですから…。
子どものときなら、「勉強しろ」と周りがお尻を叩いてくれたでしょうが、大人になって社会に出たら、誰も何も言ってくれません。私がもし会社員だったら、何の目的意識もなく、日々の仕事をこなす人間になっていたかもしれません。

税理士になる目的がいまひとつ明確でないまま、私は、独立の日を迎えようとしていました。このままなんとなく独立したのではダメだ。焦燥感にかられていました。「税理士になった=だから独立する」。目的不在では、何も考えずに「クライアントを増やす」という目標にはまってしまいます。最初は良くても、いずれ壁にぶち当たってしまうでしょう。

「時価総額世界一」が目標・目的だったライブドア

私が、自分のクライアント企業を見ていて思うのは、このポイントです。
「目的不在の企業が多い」。その時々の流行や景況、経営環境によって、コロコロと経営の方針が変わってしまう企業が多く見受けられます。
目標は、そのつど、企業が立っているステージによって、変わるもの。
しかし、事業目的は一つ。しかも不変のものでなければなりません。これが明らかでないと、「売上」や「利益」が目標であり、「目的」になってしまいがちです。数字目標だけでは、金があるところに何でも飛びついてしまう。これでは社員が振り回されるだけです。短期的には業績を伸ばせても、長期的成長は望めません。
例えば、ライブドア。かの企業は「時価総額世界一」が目標であり目的でした。結果はどうだったでしょう。企業買収をくり返し、ご存知のように実態のない会社へと転落していったのです。

「目標」と「目的」の違いとは? – 後編 – 』はこちら

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