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「考える」を考える 後編

2012年04月24日

『「考える」を考える 前編』はこちら

闇雲にではなく、効果的に「考える」

ここからは具体論に入ります。まず、私が「考える」際に意識しているポイント。それは以下の4つになります。
(1) 物事を整理する
(2) コツ(キモ)を探す
(3) 試行錯誤
(4) 物事を反対側から考える
それぞれのプロセスについて解説しましょう。

(1) 物事を整理する

ただ闇雲に考えるのは禁物。これは前回のコラムで触れた「目標設定」の仕方にも通じある話で、物事を整理し、具体化、細分化していくことが考えることの第一歩となります。

例えば、スタッフがつまづきやすいポイントですが、「データ入力が遅い」という問題について考えてみましょう。
実際に「なぜ遅いのか考えて、解決策を考えてごらん」と問いかけたところ、「次回からがんばって集中してやります」という答えに終始するスタッフがいました。一生懸命な気持ちは認めますが、それでは抜本的な問題解決は望みにくいと言わざるをえません。

やるべきことは、データ入力が遅い理由を具体的に細分化していくことです。
例えば……
①資料が足りず、作業自体が止まってしまう
②資料、会計データに対する理解が浅い
③仕訳の方法(データ入力の方法)が分からない
④入力時のパソコンのキータッチが遅い
⑤会計ソフトの便利機能を上手く使えていない
などなど……。即、思いつく要因としても、5つに細分化できます。

力技の根性論ではなく、具体的かつ効果的な解決策も見えてくるはずです。

(2)コツ(キモ)を探す

“根性論”にも通じる話ですが、「データ入力が遅い」要因というと、先に挙げた④がすぐに思い浮かびがちです。ですが、経験上から言うと、実は意外にも①や②が重要なのです。
①と②はいわゆる準備段階の話です。この準備がきちんとできないと、作業が何度も中断され、データ入力が遅くなるだけではなく、作業が中断されるたびに集中力が途切れミスを誘発するハメになる…というわけです。

つまり、事前に準備をしっかり済ませていれば正確かつスピーディーにデータ入力を終わらせることができる場合が多い。このキモが分からずに一生懸命キーボードを叩いてもさほどスピードは上がりません。

つまり、生まれつきの鈍足がいくらがんばっても俊足になれないのと同じです。もし、④の解決策として考えるならば「便利なショートカットキーを探す」「よく使う単語は一文字で変換されるよう登録しておく」などのくふうをするほうが効果大といえます。

(3)試行錯誤

自分なりにコツを見つけたら、いよいよ実行に移します。その上で自分が出した答えが正しかったのか。答え合わせをしていきます。
ここで大事なのは、一度で見事正解、問題もすんなり解決、というハッピーな結末はマレだということ。大抵は間違っているものですが、ここであきらめないこと!
間違えた理由も含めてもう一度解決策を考え、実行する。この繰り返し、つまりトライアンドエラーで「間違えながら問題を解決していく」ということが何より大事だと思います。

若いインターン生などを見ていると意外にこの試行錯誤ができないケースが多いようです。インターネットで正解を調べることに慣れてしまって、考える頻度が減っているのからでしょうか。間違いが許されにくい社会のせいもあるのかもしれません。

(4)物事を反対側から考える

前述した事柄を行っている間、意識してほしいのが物事を常に反対側から考えてみることです。ちょっと天邪鬼になって物事を別の視点から見てみましょう。例えば…、

ケチな人→経済観念がしっかりしている人。
トロい人→おおらかな人

見方を変えるだけで、マイナスがプラスに、逆を言えばプラスがマイナスにも簡単に変化します。

サッカーやラグビーなどのスポーツでいえば、日本の選手の場合、外国人より小柄でパワーの面で劣っている場合が多いですが、逆を言えば小回りが利くという長所にもつながります。短所を真正面から捉えて「だからダメだ」と捉えるのではなく、ウラにある長所に目をつければ、逆に短所を活かす方法も見つかるはずです。

この思考法は多面的に物事を「考える」練習にもなります。日頃から少し意識してみる
と、自分や自社の意外な長所に気づくきっかけになるかもしれません。

個人や中小企業にとってこそ、「考える」は最強の武器

先にも触れたように、じつは「ヒト」「モノ」「カネ」という経営資源に限りのある中小企業においてこそ、「考える」ことが最強の武器になりえます。
なにせ必要なのは自分の頭だけ!だからです。
お金もかかりませんし、時間も場所も限定されません。電車や車で移動中に、あるいはお風呂に浸かりながら、さらには夜寝る前に布団の中で…と、スキマ時間を有効活用すれば、無限に可能性が広がります。

また、何回か当コラムでも触れたように、中小企業の武器は意思決定の速さです。
大企業と違い、何時間も会議をしたり、何個もハンコをもらいに行ったり……という必要がない分、実行のスピードも速く、試行錯誤の回転数もいくらでも上げることができます。
とくに変化のスピードが早い現代は、ビジネスは「早い者勝ち」「やった者勝ち」。考え抜いて決断をしたら、間違いを恐れずに行動に移してみる。そんなスピード感が肝要です。

もちろん、「考える」習慣は一朝一夕で身に付くことではありません。最初は、必死に考えても当たり前のことしか思いつかないかもしれません。それでもいいのです。毎日意識しながら、「考えること」を習慣にしてみませんか? どんな壁が立ちふさがっても、頭を使って考えれば必ず突破口は開ける。そんな自信の源にもなってくれると思います。

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