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不況時の資産運用をどう考えるか 2

2009年03月19日

『不況時の資産運用をどう考えるか 1』はこちら

資産運用に関するコラムの第2回目。今回は、具体的な投資方法について、私の考えを参考程度に記してみたいと思います。あくまでも自分自身の投資経験を踏まえての個人的な考えであり、誰にでも当てはまるアドバイスではないことを、ご了承ください。

1.投資タイミングと運用額をどうするか

いつが底値なのかは誰にも分からないというのは大前提。その上で、「資産運用はなるべく早く始めたほうがいい」ということはひとつ言えます。何の準備もせず、“お金が余ったら投資しよう”と思っていたら、いつまでたっても着手できません。また、投資に回せる資金がそれほど潤沢でない個人は、時間を味方につけ、複利効果を享受するべきです。

ただし、早いほうがベターと言いつつも、「月1万円ずつ投資信託を積み立てていく」方法のみでは、道のりがあまりにも遠い。老後を不安なく暮らす資産形成には到底おぼつきません。
資産運用に本格的に取り組むなら、最低200~300万は欲しいところです。1万円から始めることが悪いわけではありませんが、貯金がないなら、まずは本業(仕事)で頑張ってお金を稼ぐほうが先決ではないか。それが私の考えです。がんばって貯金をすれば、1~2年である程度の投資資金を貯めることは不可能ではありません。

2.運用商品をどう選ぶか

私自身、日本株から国内外の投資信託、海外ETFなど、さまざまな商品にトライしてきました。さらにはひとつの商品に集中するのではなく、リスクヘッジのために日本株~%、外国株~%といった分散投資も実践してきました。
しかし、経済や市場のグローバル化が進むなか、サブプライム問題勃発後、世界市場で起こったことは、アメリカが下がれば、日本も下がり、中国も下がり、ヨーロッパも下がるという雪崩現象でした。分散投資は、少なくとも金融混乱時には通用しなかったわけです。

もちろん長期スパンで見るならば、分散効果も発揮されるのかもしれませんが、私自身、身近で情報がとりやすい日本株、プラス日本債券の運用だけでいいような気もしてきています。本業で投資をやるならまだしも、ほかに仕事がある人がいろいろ手を出すと管理も大変です。

ただし、ギャンブルではなく、真剣に運用するなら個別株はやめたほうがいいでしょう。昨今、不祥事発生後の株価急落の例を見ても、個別に集中させるのは、あまりにリスクが高いように思います。無難なのは、日経平均などに連動するETFで運用する方法。それだけでは面白くないと思うなら、あくまでも限度額を守り、個別株に投資するのがよいでしょう。

また、今回の下げ相場で感じたことは、“買い”ではなく“売り”から入れる先物取引も有効。リスクヘッジとして効果を発揮してくれます(*詳しい説明は省きますが、通常、個別株などの投資で“買い”から入ると下げ相場で損します。しかし、“売り”から入ると、下げ相場で儲けることができます)。先物=リスクが高いと考える人もいるかもしれませんが、日経平均に連動し、少額から買える日経225miniなどは、個人投資家でもトライしやすいと思います。
外貨を持っておきたいという人は、外貨預金より、コストの面から為替証拠金取引(FX)がお勧めです(ただし、レバレッジは低めに設定すること)。円高になったときにちょっとずつ買うスタンスで良いのではないでしょうか。

金や原油などの商品も最近人気です。しかし、価格のブレが大きい商品に手を出すなら、原油価格上昇などでメリットを受ける企業の株を買うほうがわかりやすいと思います。

投資割合については、株:債券=7:3ぐらいを目安としていますが、このあたりは個人の好みによるでしょう。仕事が安定している人なら、現金は3か月分の生活費ぐらいを残しておいて、あとは投資に回してもいいと思います。ただし、ローンを抱えている人や、子どもの教育資金などの大型出費を控えている人は、もう少し保守的なポートフォリオを組むべきといえます。

3.運用ルールは?

正直、自分の中で自信を持って勧められるルールはまだ確定できていません。たとえば、いくら儲かったら売る、いくら損したら売るといったルールを設定する考え方もありますが、これだと相場の流れに乗れないような気がしています。
ひとつのルールに固執することは、少なくとも現状のような不安定な相場では、得策ではないのではないでしょうか。

ここまで読んでいただいておわかりかと思いますが、まだまだ胸を張って、クライアントに薦められる投資手法が確立できているとはいえません。が、じつのところ「投資においては、いつの世にも通じる正解はない」というのは、まっとうな専門家なら誰しも口にする投資の真理です。
その真理を大前提に、いかにクライアントのニーズに沿ったアドバイスができるかどうか。今後の私の課題でもあります。

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