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「仮説力」の大切さ – 前編 –

2007年02月19日

前回は、事業計画を立てる必要性について述べました。今回は、その際に必要な「仮説力」について書いてみたいと思います。

前回も述べたように、計画を立てるには「先を見通す作業」が必須。つまり事業の将来像を思い描き、こうやればうまくいく――という「仮説」を立てなければなりません。もちろん「仮説」というぐらいですから、100%正しいかどうかは誰にもわからない。でも、わからないなりにも、精度を上げたい…その時に大事なのが「論理的に考える」こと。論理的思考なしに、仮説を立てることはできません。

論理的な人とそうでない人の違いとは

では、論理的であるか、ないかの違いとは何でしょう。事業計画とは、少し話がズレますが、最近見聞きしたひとつの事例を挙げてみます。

キリンビバレッジという飲料メーカーがあります。この会社のマーケティング部長・佐藤章さんは、コーヒーの「JIVE」、「アミノサプリ」、「生茶」などのヒット商品を続々と生み出しています。飲料メーカーのいわば“イチロー的存在”ですね。
彼は昨年、「午後の紅茶」のリニューアルを手がけました。「午後の紅茶」は、移ろいやすい飲料界にあって、20年以上の歴史を持つロングセラー商品です。ところが、明らかな売上低減傾向が見えていた。そこで20周年を迎えるのを機にリニューアルをはかったわけです。

当初、開発チームの現場担当は、「20年=20歳」という人間の成長に掛けて、「最高大人品質」とうたうプランを提案しました。「20年目の新発見」というテーマで販促しようという考えです。そこに佐藤さんの突っ込みが入ります。「根拠が弱い。大人のムードを出すだけで買ってもらえるほど甘くない!」と。

現状の分析作業が必要

佐藤さんが目をつけたのは、お客様相談室に寄せられていた顧客データ、不満の声でした。「午後ティって甘い」「レモンティの色は着色料?」「ミルクティ1本飲むと太りそう」――20年の間に、顧客の中に「午後ティは健康に良くない」というイメージが刷り込まれたのではないか。そこで、佐藤さんは、「午後の紅茶」をヘルシー飲料としてリニューアルします。「じつは低カロリー」「無着色」「低脂肪乳使用」と実質的なキャッチコピーをつけ、松浦亜弥を起用した大胆なCMを展開。前年比20%売上増を達成しました。

少し長くなりましたが、最初に現場担当者が打ち出した「大人品質」は、20周年に引っ掛けた思いつきでした。論理的思考とはいえません。「ヘルシー飲料としてリニューアルしたらうまくいくのではないか」という佐藤さんの「仮説」は、顧客データの分析に裏づけされたもの。論理的であるといえます。
つまり、仮説を立てるには、思いつきや、なんとなく、ではダメ。現状の分析作業が必要なわけです。

『 「仮説力」の大切さ – 後編 – 』はこちら

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