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老後の「お金作り」について考える

2012年02月03日

これからの日本経済は…?

日本政府の借金は現在約900兆円に達しようとしています。昨今、欧州財政不安が世間を騒がせていますが、果たしてわが国、日本の財政も破たんするリスク大なのか、否か? その他、想定されるシナリオとは? 専門家によって意見はさまざまですが、借金返済のために政策的に紙幣流通量が増加するなどのリスクシナリオから、「将来的にインフレが起こりうる可能性は低くない」。これが私の個人的見解です。後にも書きますが、もしインフレになれば、物価は上昇。お金の価値が大きく目減りする。預金だけでは太刀打ちできません。
では、私たちはインフレリスクにどう対抗していけばいいのか? どんな金融商品がインフレに強いのか? 弱いのか? 具体的に解説していきましょう。

現金

インフレ・デフレの影響を一番受けるのが現金です。インフレを前提とした場合、現金・預金はインフレ率の分だけ目減りします。バブル崩壊後、不動産や株価の下落が続くなか、投資はリスキーで、現金・預金こそが一番安全と思い込んでいる方も少なくないでしょうが要注意です! リスクをとらないことこそがリスクにつながることもある、と心得ましょう。

生命保険

日本人は世界一保険が好きな国民と言われます。しかし、生命保険は基本的には加入時に利率や給付額が決まるため、インフレに対応していない商品が大半です。また、積立型の保険は、基本的に保険会社が保険料を集めて保険加入者に代わって運用している商品ですから、運用等の手間(手数料)が掛かっている分、実は割高になっています。
従って、個人で万一の備えとして加入する場合はできるだけ安い掛け捨て保険がおすすめです(ただし、法人契約の場合は必ずしも該当しません)

年金

国民年金は、①元々の掛け金が少ない、②現在の最高支給額が生活保護支給額を下回るためこれ以上の減額は考えにくい、③所得税の控除を受けられる、などのポイントから、払っていても大損する可能性は少ないでしょう。ただし、厚生年金・共済年金については、積立金の不足の補填などに充てられるため支給額の減少リスクが大いにあります。
また、公的年金の支給額には、本来、毎年の物価変動を反映させる「物価スライド」が適用されていますが、これまでのデフレ下では特例措置によって引き下げが実施されずに据え置かれてきました(逆に2006年、08年時に物価上昇が起こった際も、年金額は据え置かれたままでした)。
12年度からは特例水準が解消され、物価下落に合わせて年金支給額の0.3%引き下げが決定していますが、これまでの経緯を見ても物価下落or上昇に伴う年金額の増減は政府の方針次第。公的年金だけで老後資金を賄おうと考えるのはかなり危険だということがおわかりになると思います。

ならば、公的年金の補填としてどうするか。生保会社の年金保険に加入しようと考える人もいるでしょうが、これらの商品は確定利回りのものが多く、ここ最近の金利が低い年金保険はあまりおすすめできません。ちなみに変額年金はインフレに対応していますが、手数料が非常に高いので、その分“コスト負け”してしまうリスクがあります。

なお、個人事業者や中小企業の経営者の方には小規模企業共済・国民年金基金が節税の面でもお勧めです。詳細はこちらのサイトで紹介していますので、ご参照ください。

【お金にまつわる知恵袋】
節税対策その1(国民年金基金編)
節税対策その2(小規模企業共済編)

株式投資

日本の株式はリーマンショック後、低迷が続き2011年だけでも約20%下落しています。「大損失を抱え、株なんてもうコリゴリ」という方もいるかもしれませんが、インフレを前提に考えるなら株式投資は外せません。インフレ時には現金・預貯金から市場やモノに資金がシフトする(→相場が上がりやすい)からです。
もちろん、価格下落リスクはありますが、今は1万円前後から少額コツコツ投資も可能。銘柄選びが難しければ、日経平均などに連動するETFという商品も買うのも手です。来るインフレに備えるためにも、今のうちに少額から体験しておいたほうがいいでしょう。

為替(外国債券、外貨預金)

株式投資より予測が難しいと言われる為替ですが、インフレになった場合、円の価値が下がるため、基本的には円安になるはずです。目先、欧米の経済や財政不安が表面化しているため、円高基調が続いていますが、日本の経済力から考えても、円安に転換する局面はかなりの高い確率で訪れます。「円で生活しているのだから、円だけでいい」「外貨投資は難しいのでやらない」というスタンスは捨て、資産の一部を外貨で持っておくことがリスクヘッジにつながります。

不動産

高度経済成長期に家を購入した人は一財産築いている方が多いですし、不動産の購入を政府が推し進めている関係から、未だに財産のほとんどが不動産という方も多いでしょう。
不動産は基本的にインフレに強いですが、流動性が低い(簡単に売り買いできない)ことや、ローンとの関係(インフレ=金利上昇)から、財産のほとんどが不動産という状況は避けたほうがいいでしょう。
最近はREIT(不動産投資信託)と呼ばれる不動産収入を細分化・証券化した金融商品もあります。安いものでは1万円前後で購入できるので、体験してみてもいいと思います。

最後に…「投資」は特別なものではない!

さて、ここまで様々な金融商品について解説と私見を加えてきましたが、インフレへの対抗策として、あるいは長い老後の備えとして、申し上げたいことはひとつ。投資の必要性です。
今後、40代以下の現役世代の場合、公的年金だけで生活することは100%ムリと覚悟したほうがいい。よって、「投資=コワい」という思い込みを捨て、「投資」をもう少し身近なもの(必要なもの)と考えるべきではないでしょうか。
無論、有り金を全部投資につぎ込むのは投資ではなく投機(ギャンブル)ですが、老後の資産形成のためには、少額からでも投資を始めることがもはや誰にとっても肝要な時代が到来しています。将来の不透明さを“嘆く”より、投資や仕事で前向きに“稼ぐ”。そんな気概があれば、どんな時代も乗り越えることは可能だと考えています。

*尚、このコラムはあくまで私個人の考えであり、個別の銘柄などをすすめるものではありません。

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