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税理士コラム

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税理士は何をどこまでやってくれるのか?

2011年05月31日

「税理士って何をやってくださるんですか?」――起業したばかりの方が相談にみえると、冒頭のような質問を受けることがたびたびあります。
会社を作ったら、“税理士を探さなければならない”と周りから言われるがままに来たけれど…という人も多いようです。けれど、会社を作ったからといって絶対に税理士をつけなければならないということもありませんし、そもそも税理士とひと言でいっても、請け負う業務に対するスタンスは人によって大きく異なります。
今回は、税理士の一般像および、私自身がサービスを提供するにあたって留意しているポイントを挙げ、税理士を探している方の参考にしていただきたいと思います。

税理士しかできない業務(独占業務)はこの3つ!

法律で税理士しかできない業務は以下の3つ。税務代理、税務書類の作成、税務相談になります。

(1)税務代理
・法人税の申告書などをクライアントに代理で税務署などに提出する業務
・税務調査でクライアントの主張の代理、代行する業務。

(2)税務書類の作成
・法人税等の申告書の作成
・届出、申請書の作成

(3)税務相談
・税金に関する相談。

この辺りは比較的、多くの方がイメージしやすいと思います。ただし、「この3つの業務だけしか仕事はしません」という税理士は少数派です。

税理士は日々、こんな仕事をしている

上記の3つの業務にも付随しますが、日常的な仕事のメインは、クライアント訪問になります。クライアントの要望、契約形態にもよりますが、訪問先での仕事は以下の2つが挙げられます。
・会計ソフトへのデータ入力
・会計データチェック
数字を確定し(月次決算といいます)、クライアントに報告しながらお話をうかがうのが基本的な業務になります。会社の節税、資金繰りなどの相談も受けたりします。

また、クライアント先に訪問する間に、当月に申告しなければならないクライアントの決算書作成、法人税等、消費税の申告書の作成、提出業務を行います。
これに加えて新規クライアントの開拓をしつつ、税務調査の立会、年末調整などのイレギュラーな仕事も加わったりします。
社長個人の資産管理、事業計画の作成のお手伝いを付加価値的なサービスとして行なう場合もあります。

五島税理士事務所として力を入れているのは…

冒頭で、税理士によっても提供するサービスの内容やスタンスに大きな違いがあると述べました。以下、私自身が独立して8年間を経るなかで、特に意識しているポイントについて挙げていきたいと思います。

1.月次決算、決算書、申告書の作成はスピーディに

「数字が1円単位まで確定しないと気が済まない!」――経理のご担当者とやりとりをしていると、このように慎重できっちりした方が多いようです。几帳面なことは悪いことではありませんが、そのせいで月次決算の遅れにつながってしまうようでは意味がありません。
以前勤めていた事務所では月次決算のための訪問は10日以後、決算書、申告書の作成は期日ぎりぎりの決算日から2ヶ月後が一般的でした。それでは、データとして活用しようとしても、あまりに遅すぎます。
私は月次決算は10日前後、決算書も決算日から1カ月以内にはできるように心がけています。

2.税務相談はフレキシブルに対応

「杓子定規な答えをしないでほしい」――かつては無理な税務相談も少なくなく、対応によってはこうした苦言を呈される場面も数多くありました。もちろん、私たちは法律を順守しなければなりません。その観点から言えば、無理な(違法な)ことをもちかけるトップの方が悪く、法律通りの話をしている私が正しいということになります。
しかし、そこで大事なのは、社長がなぜそう思うようになったのか。なぜそんな相談を持ちかけるのか。背景の事情が徐々にわかるようになってからは、法律でできることとできないことは当然あるとしても、頭ごなしに「NO」とは言わないようにしています。
ダメならば、他に方法はないのか。代替案を考えるなどして、クライアント目線で常に接するように心がけています。

3.資産運用の相談は自らの体験を踏まえて対応

税金以外にも不動産や保険契約、金融商品の購入など、お金にまつわる相談事を受けることが多々あります。それゆえ、金融機関や不動産業者からクライアント紹介の提携に関する営業を受ける事も多いのですが、特定の業者と手を組み、単純に紹介業務を行なっていたのでは商品に偏りが出てしまいます。バブル時の相続対策としてのビル建設などが最たるものだと思いますが、本当にクライアントのためを思っての対応とはいえません。
私の場合は、自分自身で資産を様々な形で運用し、その中で体験したこと、考えていることの範囲内で、ご相談に乗るようにしています。

4.経費以外の視点から事業計画書作成をお手伝い

経営コンサルティングに力を入れている税理士事務所では、1~3年ぐらいの事業計画を立てるお手伝いをするサービスがあります。ただし、残念ながら税理士がこうしたサービスを提供する場合、特有の弱点があると言われています。数字の羅列で終わる場合が少なくありません。主な問題点は以下の2つです。
・税理士が売り上げを伸ばすすべを知らない(自分自身が営業をしたことがない)ため、経費中心の話になってしまう。
・中小企業の場合、景気の影響以外でもちょっとした外部環境の変化で売上の増減が激しいので、営業中心の業種以外、数字通りにいかないケースが多い。

「税理士は経費の話しかできない」という話は、かつて、私自身もよく言われたことです。私の対策としては、普段の訪問時に、いわゆる数字だけではなく、営業活動に関する話も念入りにヒアリングをし、クライアントの営業スタイルをつかんでおきます。さらに、自分自身(税理士事務所)も集客効果を上げるための対策を常に考え、HPでの営業活動など、様々な方法を実践する。この2つを意識することで、経費の話しかできないと言われる数はだいぶ減りました。

売上の増減が激しい問題については、抗うための対策は正直、なかなか難しいと思います。何があってもぶれない会社の原点となる企業理念の策定など、会社の根本を固めるためのお手伝いを積極的に打ち出すようにしています。

5.税理士以外の仕事もドンドン対応する

顧問年数を重ね、信頼関係ができてくると、上記のどれにも当てはまらない仕事(税理士でなくてもできる仕事)について相談を受けることが増えてきました。新しい融資情報、助成金情報、他業種・他社の取組情報、人事採用など。グチの聞き役なども、これはこれで非常に大切な仕事だと思っています。税理士の仕事でないからといって、「知りません」「私の仕事ではありません」とは言いたくない。求められればできるだけ応じていきたいですし、逆に言えば求められなくてもなるべく“お節介”を焼きたい。これが私のスタンスです。

税理士が考える“税理士選び”のポイント

では、自分に合った税理士をいかに探せばいいのか。実は、税理士特有の選び方のポイントはない。そう言うと実もフタもないようですが、結局は“どれだけ相手の立場になって、相手の身になって仕事をできる人なのか”が要のような気がします。
そう考える一つの例を挙げます。私の事務所でも、数年前、広告を何回か出したことがあります。結果は成果ゼロでした。くやしかったのはお金を出して効果がゼロだったこと以外に、広告の営業担当者がこちらの身になって、親身に考えていた(ように見える)のは契約書を交わすところまでだったことです。
商売をやっている方なら、誰でも経験あることだと思いますが、お金(契約)をもらうまではいい顔をして……という人は意外に多い。逆を言えば、本当に親身になってくれる人は少ない。
じゃあ、どうやって親身になってくれる税理士を探すのか? というと難しいのですが、「節税をやってくれる」とか「顧問料が安い」といったことだけでなく、長いスパンでパートナーとなりうるのか、という視点を持っていただくことが大事だと個人的に考えています。

これは税理士の仕事に限った話ではないかもしれません。
ここから先は、多少余談めいた話になりますが、私自身、他の税理士とどう差別化をするのかということを、ずっと考えてきました。書店に行けば、「どうやってビジネスの差別化をするか」などといった類のハウツー本も世に溢れています。けれど、10年以上、この仕事をしてきて思うのは差別化なんてそうそう簡単にできるものではありません。
だから、「何を(What)サービスするか」というサービスの内容より、五島洋という一人の人間として「いかに(How)サービスをするか」に力点を置きたいと考えています。
これからもたくさんの職員を抱えて大きな事務所になることはないでしょうが、一人ひとりのお客さんの仕事がうまくいく(黒字になる)ことを考えて丁寧な仕事を心がけていきたい。決してキレイ事を言っているわけではなく、そのスタンスを貫くことこそが自分自身がうまくいくことにもつながると考えています。

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