「ウチの会社は特殊」という先入観を捨てる
2010年12月08日
特殊な業界とは何なのか?
現在、当事務所では80社ほどのクライアント先を抱えており、業界業種も広範囲に渡っています。経営の状況もさまざまですが、昨今では、節税というよりも、まずは利益を確保するためのアドバイスが必要とされるケースが多く、クライアントの中でも成功している会社のビジネスモデルや経営手法などを業界問わず紹介しています。
その際の社長の反応は大きく2つに分かれます。
ひとつめが「なるほど」と興味を示す社長。
もうひとつが「うちの業界は特殊だから、当てはまらないな」という社長。
後者の反応を示す社長は意外に多く、他業界の話となるとまったく耳を貸さない方も珍しくありません。もっと言えば、最初に顧問契約を結ぶ際にも、多くの経営者が枕詞のように、「ウチ(の会社or業界、業種)は特殊だから~」と言いたがる傾向があります。
商売の基本は同じ
しかし、私たち税理士からすれば、ビジネスの基本は「売上―経費=利益」。
業界、業種が何であろうと、その仕組みに違いはありません。
利益を上げるためには売上を上げるか、経費を減らすか、どこの会社でもやるべきことは同じです。
もちろん、業界、業種によって、効率的な手法や慣習などはあることは否定しません。
しかし、その手法や慣習に固執し、その範囲内だけで物事を論じようとすると、当然のことながらアイデアはすぐに尽きてしまいます。
さらに、同業者のどこでもやっているようなことをやっていても、他社との競争に勝ち、利益をあげることはできません。
新たな手法を編み出すためには、自らの視野を広げ、まるで関係ないと思われるようなところからでも、知識やノウハウを吸収しようとする姿勢が必要。
そのためにも、業界や業種にとらわれずに経営手法を考える姿勢が肝要なのではないでしょうか。
身近なとこから学ぶ大切さ
また、私のクライアント先は中小企業がほとんどですが、中小企業は資金も人材も、何もかもが不足しているのが現実です。
厳しい条件の元、成功するか、失敗するかのカギは限られた資本や人をいかに活かすかにかかっています。
その意味では、メディアで見かける、トヨタやユニクロなど大手企業の成功の秘密や経営手法といった内容は、資本や人材の乏しい中小企業にとっては、その通り実践することは難しいかもしれません。
そういった大手企業の事例よりも、業種業界は異なっても、同じような状況下にある中小企業からのほうが、参考にするべきポイントは数多くあるはずなのです。
バレーボール選手も異業種から学んだ
異分野の方法を学び、成功させた例として、ビジネスではありませんが、32年ぶりの快挙を成し遂げた全日本女子バレーがあります。
今回の勝利の秘訣は「無回転サーブ」だったそうですが、そのモデルとなったのは、サッカー日本代表で大活躍した本田選手のシュート「無回転シュート」でした。
ボールがどのような動きをするのか予想がつかないため、相手選手は大混乱。
さらに、バレーボールの青と黄色という色の特性を活かし、変化が大きく錯覚されることがある青色が相手チームのレシーバーに向かうように無回転サーブを打っていたそうです。
異分野の成功手法を学び、それを自分たちのフィールドに合わせ、取り入れる。
これは、スポーツの例ではありますが、異業種、他社から学ぶという点で良い成功例だといえます。
先入観を捨てればチャンスも広がる
くり返しになりますが、根本的に商売は、いかにして売り上げを増やし、経費を減らすかという2つの要素から成り立ちます。
現時点、従業員をこれ以上減らせない中で、他の会社はどうやって経費を減らしているのか。
他会社との値下げ競争が高まっている中、成功している会社はどういった経営戦略をとっているのか。
他業種であっても、いえ、他業種であるからこそ、新しい手法として取り入れられることは多くあるはずです。
まずは、「ウチは特殊だから」という先入観を捨てていただきたい。
さらに、偏見なく、他業種の考え方を広く取り入れる姿勢を持てば、成功するチャンスも限りなく広がるのではないでしょうか。