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「士業のワンストップサービス」のあり方を考える

2010年03月03日

士業側の都合や論理が優先!?

士業のワンストップサービス――といっても、多くの方にはあまり馴染みのない言葉かもしれません。一般的な定義としては、弁護士、会計士、税理士、社会保険労務士などのいわゆる“士業”が集まって、ひとつの事務所を作り、総合的なサービスを提供していくことを指します。数年前から、士業界では、こうしたサービスが一般的なものになるのではないかと言われており、実際、こうした総合サービスの提供を売り物にする士業集団も登場しています。

ただし、私自身は従来の「士業のワンストップサービス」のあり方には、大きな疑問を持っています。このサービスの考え方が、サービスを受けるクライアント目線ではなく、サービスを提供する士業側の都合や論理で成り立っているように思うからです。
ひとつの事務所で、総合的な法的サポートを受けられるのは、一見便利な印象を受けます。ですが、以下に示すように、実際にはそれぞれの士業のメインとなるクライアント層や、その利用頻度にはばらつきがあるのが問題です。

税理士・・・中小企業の大半が利用。
社会保険労務士・・・従業員5名ぐらいからの会社が利用。
会計士・・・個人の会計士の場合、原則、税理士と同じ。強いて言えば上場を目指す会社。
弁護士・・・大企業以外、顧問契約はほとんどない。
司法書士・・・会社の設立時、登記事項の変更など、その都度利用。
弁理士・・・特許関係の事案のみ、その都度活用。

事務所の固定費増が問題

このようなばらつきを抱えながら、複数の士業が1つの事務所にまとまった場合の問題点として、事務所の固定費増大が挙げられます。税理士、会計士、社会保険労務士のような毎月の顧問料が入る士業については良しとしても、その都度利用されることが多い弁護士などを抱えた場合、案件があるなしに関わらず人件費などの経費がつねに発生してしまいます。その経費増は、最終的にはクライアントへの価格に上乗せされてしまうため、両者にとってコストメリットは低いと考えます。
ビジネスとして成立させるなら、弁護士などの顧問を雇う余裕のある大企業をターゲットに、しかもそれなりの数の獲得が必須となるでしょう。数多くのクライアントに満足いくような価格でサービスを活用してもらい、しかも経営をうまく成り立たせるのは非現実的と考えるのが妥当ではないでしょうか?

今回、なぜ改めて士業のワンストップサービスについて考察したのかというと、今年の新サービスとして、中小企業のニーズにフィットしたワンストップサービスをスタートさせたいと考えたからです。次回で、私が考える具体的なサービスのあり方について解説したいと思います。

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