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2つ目の武器を持つ

2007年09月26日

太い一本柱を見つけるのは難しい

「同業他社との差別化がカギ」「付加価値あるサービス(商品)を」――ビジネスハウツー本や雑誌、新聞などの媒体でよく見かけるフレーズです。
が、言うは易し行なうは難し。
私自身も、クライアントの社長さんと、「その会社(社長)にしかできない」独自性や他者との差別化について頻繁に話し合います。とはいっても、実際はそうカンタンにはいきません。

社会がますます成熟化するなか、「これだけはどこにも負けない」という“柱”を持つのは至難の業です。たとえ有望な分野が見つかったとしても、競合会社(大企業)に追随され、すぐに日常化してしまうものです。

芸人もお笑い1本に特化するのは不安…

先日、テレビのトーク番組で明石家さんまと若手のお笑い芸人・千原兄弟が話しているのをぼんやりと見ていました。そこで、ふと気づいたことがあります。
千原兄弟は、お笑いに対して深い思い入れがある。が、「お笑い1本でやっていくのには不安がある」と言うのです。実際、本を書いたりしている、とさんまに話します。
さんまが「お前ら、お笑い一本でやっていきーやー」みたいなことを言っても、「お笑いのフィールドだけで勝負しているさんまさんは珍しいし、そうそうできることではない」と。

明石家さんまは珍しい存在

確かに、お笑い芸人の多くは、お笑いだけでなく、映画を撮ったり、本を書いたり、司会をやるにしても報道番組に流れたり、しているようです。
雑誌の連載も持たないし、インタビューにもほとんど応じない。ほぼ“お笑い番組”というカテゴリーの中だけで、確固たるポジションを築いているさんまは稀有な存在です。つまり誰にも真似できない才能を持っているといえます。
そういえば、お笑いより絵画など芸術分野で名が売れた芸人・鶴太郎。それも「お笑いの分野では、たけしやさんまには到底勝ち目がないと考えた選択」とどこかで読んだ記憶があります。

ひとつひとつの武器はフツーでもよい

厳しいお笑いの世界で名が売れた芸人でも、そこだけに特化していくのは非常に難しい。つねに、ほかの分野を模索しているのです。
ビジネスでも同じことが言えるのではないか。ひとつの武器だけにこだわらず、2つ目の武器を持つことも重要なのではないか。テレビを見ながらそう考えたのです。
ひとつひとつの武器は郡を抜いていなくとも、「お笑い+絵画」のように組み合わせることで、突出した武器となりうるのではないでしょうか。

コンビニ+アルファで差別化

身近な例だとコンビニが提供するサービスがあります。都心部などでは、100メートル圏内に数件コンビニが乱立する現状、差別化は極めて難しい。そんななか、新しいサービスを付加することで、各社差別化をはかっています。

いまやメジャーとなった銀行ATMサービスも当初スタートした際は、非常に珍しいサービスでした。その他、公共料金などの振込、チケットサービスなどなど。ひとつひとつを取ってみれば、目新しいものではありません。が、組み合わせることで差別化が可能となります。ローソンが展開しているナチュラルローソンなども、自然食品自体は、珍しくありませんが、コンビニにプラスすることで差別化に成功しています。

私が活動している税理士業界も同様です。税理士という資格を持っているだけで食べていける時代ではありません。差別化が重要です。もし、社労士資格を持っている税理士なら、それぞれの業務で特徴がなくとも、差別化が可能となります。

節操のない多角化は逆効果

ここで気をつけなければならない点が2つあります。
1つは、シナジー効果のない武器はプラスになるどころか、マイナスに働く恐れもあるということ。バブル期に見られた大企業の多角化が好例です。製造業が、映画などのエンターテインメント業界に手を伸ばしたり、不動産ビジネスを手がけたり…。結局、本業の足を引っ張る結果となっています。

もう1つは、2つ目の武器が1つ目の武器を曇らせることもあるということ。例えば、パスタが美味しいという評判の店でピザも出したら、普通のお店になってしまった、という例が考えられます。
また、欲張って武器の数を増やすのも逆効果です。結局、何が武器なのかわからない、つまり特徴が見えにくくなる恐れがあります。

もちろん、ひとつの武器だけにとことんこだわるのもいいでしょう。が、現状に行き詰まりを感じたら、少し視点を広げてみる。2つ目の武器を持つことを考えてみてもよいのではないでしょうか。

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