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事業計画を立てる本当の意味

2006年12月22日

人生なんて計画通りに行かない!?

前回のコラムでは、事業の「目的と目標の違い」について解説いたしました。今回は、事業の目的、そして目標を実現するための「計画」について書きたいと思います。

「計画」というと、途端に拒否反応を起こす人もいるかもしれません。子どものころの夏休みの計画しかり、テスト勉強のための計画しかり…。「人生なんて計画通りに行ったためしがない」と。

私のクライアントもそうです。「事業計画を立てましょう」と言っても、大半は尻込みします。話に乗ってくるのは「売上が悪化している企業」のみ。この状況を脱するためには、どうしたらいいのか必死ですから…。
しかし、そもそもこれらの企業は、なぜ売上が悪化したのか?
「計画なしに、成り行きで経営してきた」からです。前回も述べたように、事業は勢いだけでうまくいくときもあります。が、長期的に見れば、必ず頓挫する。勢いで成功できるほど経営は甘いものではありません。
経営状況が悪化してから、計画を立てていたのでは、できることが限定されます。しかも、回復に時間がかかります。悪化する前に、もっと言えば事業を始める前に、計画を立てることが大切なのです。

計画とは自分との約束

ここで、計画嫌いの人の常套句について考えてみましょう。
「計画なんて立てても、その通りにはいかない」。
これは真実です。経営者に限らず、計画通りになんでも実行できる人はまずいません。しかし、だから「計画を立てても仕方がない(計画は立てない)」と言う人は、計画の意味を誤解しています。

じつは、計画通りに行くか行かないかは、二の次なのです。
一番大事なのは、計画を“立てる”ことそのものです。

計画とはイコール約束です。誰との約束か? それは、経営者であり計画を立てた自分との約束です。経営者は事業が順調な限り、誰からも文句を言われたり、口を挟まれたりすることはありません。知らず知らずのうちに経営者としての驕りが出たり、慢心が生まれたりしがちです。ここで、「計画を立てる」ことは自分の中にチェック機能を持つことを意味します。果たして自分は、自らが立てた「計画=約束」をきちんと実行しているのか?計画を共有している従業員とも、良い緊張感が生まれます。結果、事業にも張りが出ます。

計画を立てたらまめに検証しよう

もちろん計画を立てただけで満足してはいけません。まめに検証する作業が必要です。つまり、「計画を立て」(PLAN)、「実行し」(DO)、「遂行状況を検証し」(CHECK)、「検証した結果を行動する」(ACTION)。このPDCAサイクルを実行することが大事なのです。事業の先の先を見ながら、計画を立て、検証する。この作業を繰り返すことで、計画を立てることも上手くなります。さらに、会社経営に必要な事業の先見性も磨かれます。

では「早速、事業計画を立てよう」と思った方。その前に事業の「目的」はしっかりと定まっているのか、自問し直してください。ここがあやふやでは、何も始まりません。

「目的」が決まったら、そこに到達するまでの、どのステージに自分が立っているかを見極めます。もし、あなたがこれから創業するならば、まず事業を維持することが第一の目標。そのために必要な売上などの数値を計算します。もし、あなたが第一ステージをクリアしているならば、さらに目的に近づくために、次の数値目標を立てます。
数値目標が明らかになれば、それを実現するために何を、いつまでにやらなければならないか、が見えてくるはずです。やらなければならないこと、すぐにチャレンジできること、を思いつくまま書き出してみましょう。そしてその横に、いつまでやるのかを書き込みます。
これが「事業計画」です。どうでしょう。ノート1冊あればすぐできるはずです。

ここで、もうひとつ注意点があります。事業の目的が、数値目標とならないように注意してください。すべてを数値基点に考えると、必ず事業の方向性がぼやけてきます。まずは、目的を明確にすること。しつこいようですが、この点を肝に銘じて事業計画に取り組んでみてください。

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