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ヨットで学んだこと

2008年04月21日

自然を相手にしなければならない過酷なスポーツ

幼少時代、なんらかのスポーツを習っていた人は多いと思います。さらに、そこで学んだことが、人生に大きく影響しているという人も少なくないのでは? 何を隠そう、私もそのひとりです。今回は、幼少時代に私が習っていたヨットについて書いてみます。

私がヨットをやっていたのは小学3年から高校3年まで。埼玉の自宅から、湘南のヨットクラブに通っていました。基本は土曜の夜に集合し、日曜に練習。夏休みなどは、泊り込みでほぼ毎日練習していました。
ヨットというと、クルーザーを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、私がやっていたのは、1~2人乗りのディンギーと呼ばれるもの。また、クルーザーのイメージからか、優雅あるいは軟派なスポーツと思われる人もいるでしょう。が、本来、海の状況や天候など、自然を相手にしなければならない過酷なスポーツです。とくに、大学のヨット部などは、海軍の流れを汲んでおり、指導も非常に厳しいと聞きます。

ヨットやる上で大事な3要素

さて、ヨットをやるうえで、大切な要素として学んだことは、次の3つに集約されます。
1.風を読む(=先を読む)
2.船を早く走らせる
3相手を見る

上記、3つのポイントについてくわしく見ていきます。

まず、1の「風を読む」。ヨットはご存知の通り、風にどう乗っていくかが勝負の分かれ目となります。風の強さや風向きは場所や時間帯によって大きく異なります。風の変化を敏感に察知し、「いい風」をつかんだ者が勝つというわけです。

もちろん、「風」をどこまで読めるかには限界がありますが、それでも読む努力をし続けなければなりません。そのためには、「先を読む」習慣を身につけることが大事。私たち生徒は、基本的な生活から「先を読む」練習をさせられました。

たとえば、朝の集合。コーチが指定するのは集合時間だけで、あえて起床時間の指示はありません。生徒は小学1年生から上は高校生までと幅広い年齢層でした。当然、全員が同じ時間に起きても、同じようなスピードで行動することはムリです。しかし、ひとりでも遅刻者が出ると、団体責任で全員にペナルティが課せられます。
よって、誰が遅れがちか。あるいは遅刻してしまうリスクにはどのようなことが考えられるか。先を見越し、年長者が年少者を手伝うなど、全員が協力して集合時間に間に合うように考え、行動することが自然と身につきました。
私自身の物事を逆算して考え、行動するという習慣はここで会得したのです。

2の「船を早く走らせる」。そのためには、徹底して基本練習の反復をするしかありません。準備をして実行し、最後に反省するというサイクルを身体の性根から叩き込まれました。
最初の「準備」は、走る前にルールから理論までをきっちり押さえること。ヨットを走らせる前の船の整備についても、うるさく指導されました。
「実行」とは、文字通り船を走らせることに尽きますが、その後の「反省」が大事です。今日の反省を毎日、みんなの前で発表し、コーチがコメントします。「準備―実行―反省」をくり返す毎日でした。
いま考えると、ビジネスで言うPDCAサイクル(PLAN―DO―CHECK-―ACTION)に近いことを体現していたように思います。

そして3の「相手を見る」。ヨットは相手との競争です。相手の位置をある程度マークしておかねばなりません。非常に重要なポイントではありますが、私自身は、相手を見すぎて注意されることのほうが多かったように思います。

一番大事なのは、これら3要素をバランスよく実行することです。つまり、風ばかりを見ていると、自分の走りがおろそかになりがちです。自分の船を走らせることばかりに集中していると、いい風をつかみ損ねます。また、相手ばかりを見ていると、風を読むことができない。ひいては、自分の走りができなくなってしまいます。

ヨットで学んだことがビジネスに貢献

ヨットで学んだことは、現在、私がビジネスをやっていく上で、大きく役立ってくれています。
まず「先を読む」。先を考え行動することが、ビジネスで重要な要素であることは言うまでもありません。さらに身近な例で言えば、仕事を納期より早めに終わらせる。あるいは、電車が遅れるリスクも考え併せ、アポイントの時間より早めに行動するなど。先を見越して“時間のゆとり”を作ることで、突発的な事故にも対処することができます。

また、誰にも指示されない身であるがゆえに、「目標→実行→反省」を自分自身で実践することは非常に大切。「自分を磨く」上で大きなアドバンテージとなっています。
「相手を見る」というポイントでいえば、自己満足で終わらず、かつ相手を気にしすぎないバランス感覚を身につけることができました。とくに、独立してからは周りを気にしすぎず、わが道を行こうと考えたことで、より仕事がうまく回りだしたように思います。

“三つ子の魂~”とはよく言ったもの。幼少時代、体に叩き込まれたものは、自然と大人になってからも実践できているようです。正直、ヨットが好きだったかというと、苦しい思い出しかないのですが……。でも、自分を形成してくれたという意味では、ヨットに(指導してくれたコーチにも)深く感謝したいと思います。

みなさんは、いかがでしょう? 誰にでも、小さいころに歯を食いしばって頑張ったことや、必死に学んだことがひとつはあるはずです。改めて、自分の過去を振り返ってみてください。そして、蓄積してきた「資産」をたな卸しすることで、自分ならではの「強み」を再認識してみてください。きっと、いまのビジネスに活かせるものがあるはずです。

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