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税理士業界への就職を目指す方々へ――

2013年08月07日

一般的な企業では4月が新入社員を迎える時期となりますが、税理士業界においては8月の税理士試験終了後も一つのピークとなります。今、まさに同業界を目指し、頑張っている方々に向け、税理士という仕事のあり方や、必要な資質をお伝えしたく、今回のテーマを設定しました。あくまでも私見ではありますが、参考にしていただければ幸いです。

税理士・会計業界が人気を集める理由とは?

以前、ある雑誌を読んでいたら「会計事務員は数ある職種の中で、最も減少率が高い職種である」という趣旨の記事が載っていました。その最たる原因はIT化。会計ソフトや税務申告ソフト、エクセル、インターネットなどの力を借りることで、専門知識がない方でも仕分けや計算ができるようになり、会計業界全体へのニーズ、引いては求人数も低下しているようです。

それでも同業界への就職志望者数は減少する兆しが見えません。なぜか?
強い思いや信念、やりがいを求めてこの業界を希望する人も少なくないと思いますが、「不況の時代」「答えのない時代」だからこそ、会計業界に人気が集まるという側面もあるのではないでしょうか。しかし、実はそこには大きな誤解も存在するように思うのです。

税理士は、意外にもお手ごろな就職先!?

意外に思われる方もいらっしゃるでしょうが、「税理士・会計業界はハードルが低い業界のひとつ」だと私は考えています。たとえば、税理士になるには会計・税法を5科目合格する必要がありますが、税理士志望者の大半は2、3科目合格の時点で税理士事務所に就職し、働きながら勉強することになります。もちろん、国家試験なので誰でも受かるとは言いませんが、2科目ぐらい合格してしまえば税理士事務所自体にはかなり入りやすいのです。少なくとも現在の就職活動のように何百人、何千人というライバルと少ない枠を争う……ということはほとんどありません。

そこに気づいて税理士を目指す人がどれほどいるかは別として、就職が難しく、大企業でも安泰ではない時代だからこそ、手に職をつけたいと考え、税理士・会計業界を目指す人は多いでしょう。言ってみれば、意外にもお手ごろな就職先なのかもしれません。

また、現代は「答えのない時代」です。
だからこそ、明確な答えがあるように“見える”税理士・会計業界がわかりやすく、それこそお手頃に映るのかもしれません。
確かに税理士の本来的な業務である申告書の作成、会計帳簿の作成などは、基本的には誰がやっても同じ答えがでる「答えのある仕事」です。

しかし、そこに落とし穴があります。実際にクライアントとなるのは中小企業の経営者です。みなさん、組織の歯車では飽き足らない、大きな信念や強い志、十人十色の個性を持つ方々ばかりです。そういう個性豊かなクライアントを相手にする仕事は、それこそ究極的に「答えのない仕事」であるはずなのです。

“不肖・五島”が勉強もせずに、部活動で学んだこと

さて、突然ですが、私の大学時代の話を少しさせてください。
私の大学時代は……というと、4年間ひたすら部活動に明け暮れていました。胸を張って言うことではありませんが、学生の本分である勉強は一切やらず、とにかく部活一本の4年間。就職や自分の将来像など、まったくといっていいほど考えていませんでした。

その点、今の学生さんは、大学時代から税理士試験に取り組んでいたり、様々な資格試験に挑んでいたりと、非常に真面目で意識が高い。インターンで来る彼らの様子を見ても、私ももう少し真面目に勉強して、将来のことをきちんと考えていたらどうなっていたのだろうと考えることがあります。
ですが、一方でこうも思うのです。

私が部活動に打ち込むなかで、会得したことが3つあります。それは「継続すること」「自分で考える習慣」「失敗して恥をかくこと」
つまり、「一見意味のないことでもとにかく継続すること」「自分で考えて試行錯誤してみること」「多くの失敗・挫折を経て、恥を知ること」。答えのないなかで、試行錯誤をしつつ、恥をかきながら何かをつかみとる。こうした経験の連続が、今の税理士という仕事、そしてクライアントと向き合っていく上での、私の考え方の基礎になっていることは間違いありません。
 

すさまじい野心を持った経営者と向き合うために…

誤解のないように言っておくと、時間があって、暗記力も高い若いうちに、資格取得のための勉強に励むことは、非常にいいことです。私もそうすれば、もっと若いうちに税理士資格を取得し、独立も果たせたかもしれません。しかし、資格を取ることばかりに集中して、部活動での貴重な経験が得られなかったとすると、この答えのない業界でサバイバルできていただろうかというと「?」なのです。

時代が違うと言われれば、それまでですが、今の学生さんを見ていると、安定性ばかりに囚われ、「人生で失敗したくない」「うまく将来を乗り切ろう」ということに考えが行き過ぎているようにも映ります。一言でいえば、野心がない。

野心なんて青臭く聞こえるでしょうか。もし税理士業界を目指すのであれば、その仕事の相手は、「商売を成功させてやる!」といった純粋なまでの野心をもった経営者の方々です。そういった意味で、電卓を早く叩く技術や高度な税務知識より、実は「野心」こそが「税理士に必要な資質」ではないかと思うのです。

もちろん、私の個人的な経験に基づく、私見です。それを承知で、今、税理士を目指す学生の方々、会計業界を視野に入れている方々に申し上げたい。ぜひ、勉強だけに偏らず、様々な経験をしながら、自分なりの野心をもって、この業界に飛び込んでいただきたい
どの仕事もそうですが、資格取得がゴールではありません。クライアントとともに、自身も成長していくために、ぜひ心に留めていただければと思います。

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